こんにちは!杉本 圭也です。
前回は、事業承継に不安について書かせていただきましたが、その不安の一部でもある「自信がない」の中に、業績悪化による自らのリスクマネジメント力の少なさがあるのではないでしょうか?
昨今、コロナウィルス感染拡大による、業績悪化及び赤字経営をせざる得ない状況にある企業様が多く見受けられます。
しかしながら刻一刻と時は流れており、指をくわえて待つ訳にはいかないのが経営者です。
まずは、原因を知る事から始めましょう。
経営悪化の要因トップ3
1位:取引先からの受注低下
2位:費用の増加
3位:外部環境や顧客ニーズの変化
取引先からの受注低下を防ぐには?
やはり商売をするうえで、一番大切であるお客様は、まさに売上の原資です。
受注低下を防ぐ方法は・・・「ない」です。
と言ってしまうとこの話は終わりになりますが、私が考えるのは「受注低下を防ぐことはできない、だけれども回避はできる」です。
私が経営しているのは企業間取引である運送業であり、いわゆるBtoBでございます。お客様の業況次第で自社の売上は瞬く間に変化し、左右されるという業態です。
お客様が四苦八苦しておられる中で「もっと仕事下さい!」なんて口が裂けても言えません・・・本当は言いたい気分ですが。
そこで回避とは?どように対応していくのかを解説したいと思います。
売上の平準化を図る
まずは、今一度自社を見直す事が大切です。
それは、一社依存していないか?です。
もしくは、一社からの売上が50%以上を占めていないか?
「このお客様と今までやってきた、そしてこれからも・・・」私は個人的にその気持ち非常に好きです。
がしかし、自社が存続しなければ、これからの未来はお付き合いできません。特に依存度が50%以上だと非常に怖いものと考えて下さい。
これを回避する策は「売上の平準化」です。
新規開拓を行い、自社の売上構成比を各社20%前後にもっていく事が必要になってきます。依存しない事、お客様の足にしがみつく事は、お互いにとって良い事ではありません。
自社に「ゆとり」を持たせる事で、長年取引いただいているお客様へ、より良いサービスを提供できます。
費用の増加を防ぐには、自社の数字を徹底的に見直す
要因の一つである、費用の増加は中小企業にとって非常に大きいダメージになります。まずは、資金繰り表を作成し、数字を可視化できる環境を整えます。
必要?
なぜ?
を繰り返しムダなものは全て減らす。
これは私の実体験での話ですが、徹底的にケチ経営を行うことは時には必要です。
費用のウェイトを極限まで下げる努力を行い、そのうえで売上を見直すと、自社の適正価格を考えていくことができます。
ここで大切なのは、資金繰表を作成することで、直接キャッシュに響く売掛金回収サイクルと買掛金の支払サイクルのバランスを分析し、数カ月先の手元資金の状況が改善するかをシュミレーションすることです。
また、資金繰り表の作成は金融機関さんとの交渉や資金調達の際にも使用できます、経営者としての意思決定スピードを上げる武器です。
「そんな事邪魔くさくてできない」って方もいるかもしれません。そんな時は、顧問税理士さんに協力いただき、シュミレーション表を作成していただくのもアリです。
話はそれますが・・・
ケチ経営での大失敗
ここは、ケチ経営を実施した時の大失敗を、語らせていただきますが、単刀直入に言いますと、「人件費を触るのは最後の手段」です。
私は数字を見ることで、ムダを削り、運送会社は歩合制が多い業界であります故、売上とお給料のバランスも精査し、人件費を減少させた経緯があります。
もちろん私自身もお給料の減額が行っていますが・・・
正直、当時は売上と人件費のバランスは全く合っておらず、ほとんど売上はドライバーのお給料になってしまっている状況で赤字で資金ショート寸前でしたので、人件費の見直しを実施しました。
人件費の見直しを行ったのは、会社存続するうえで大切な事で、その取組は今でも間違っていないと思っていますが、確実に間違えていたのは順番です。
売上を上げる努力をするまでに、人件費に目を向けた事が、最大の失敗です。
人件費の前にお客様との価格交渉を行い、全力で売上を上げる努力をし、まずは粗利を増やす事が必要だったのです。
数字上の改善は一気に改善しましたが、同時に従業員さんのモチベーションは一気に下がりました。ちなみに、2年間は詐欺師呼ばわりされたのも思い出します。
なぜ粗利があるか?
それは、従業員さんの弛まぬ努力があってこそです。そして、その努力ができるのは従業員さんのモチベーションが高いからこそです。
お客様を守ることで企業存続するより、従業員さんを守ることで、お客様と自社を守る。これが経営者にとって重要な決断力だと思います。
なので、人件費を触るのは最後の手段です。
過去の成功体験の呪縛に気をつけろ!
経営は生き物だと教えてもらった事があります。また、良い時は5年と続かないとも言います。
そうです!
外部環境は自分の感じている以上に変化し続けているという事です。
赤字から黒字に脱却した後が大切です。
「Ⅴ字回復した」「経営改善が図れた」この成功体験は非常にくせ者です。
これは、たまたまがむしゃらに経営した結果、ラッキーパンチもあったり、そのタイミングが良かったりと、いろんな要因があったからなのです。
この「成功体験の呪縛」により「このままで大丈夫だ」「前回はこれでうまくいった」という固定観念が環境に合っておらず、たちまち赤字へ転落する可能性があります。
常にどのような状況であっても、新たな情報を取得するアンテナを高く伸ばし、今の業況、環境、ヒトを分析しながら経営の舵をとりましょう。
経営は生き物ですから・・・
まとめ
業績悪化、赤字経営、経営には必ずと言っていい程、ピンチカードを引くときがあります。
それらの脱却に必要なのは、売上の偏りをできるだけ無くす、つまり自社売上の平準化を図る事。
また、自社の費用を徹底的に整理整頓を行い、時にはケチ経営をしなければなりません。
過去の成功体験に捉われず今の外部環境と内部環境を行い、経営の舵をとる。
荒波を乗り越える事で、その経験が自信に変わります。