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2020.08.11

杉本流小規模運送事業者のやるべき事

杉本流小規模運送事業者のやるべき事

本日は20人以上の小規模運送会社経営で、すべき事を書かせていただきます。

一般貨物運送事業者は、全国に約57,000社存在し、そのうち20人以下の小規模運送事業者は約43,000社と約75%を占めています。

あらゆる経営環境の課題が山積している中、小規模運送事業者の生き残るポイントをお伝えします。

山積している課題を大きく三つにまとめてました。

小規模運送事業者の課題

① 人材不足(ドライバー不足)及びドライバーの高齢化

② 荷主ニーズの多様化による競争の激化

③ 運行の安全と環境問題

特にこの三つの課題は、よく聞きますよね?

では、課題への対応を見て行きましょう。

ここで、私が個人的に思う事は、課題解決策でよく取り扱っているのは100名~300名以上の運送事業者が多いので、小規模事業者には、正直全く参考にならない事例が多いと感じます。

私は、個人的にどんな事業もそうですが、小規模事業者は、大規模事業者のミニチュアではないと考えています。

小規模は小規模の解決策があります。それを踏まえ、読んでいただくと幸いです。

課題①:人材不足(ドライバー不足)及びドライバーの高齢化

単刀直入に述べさせていただきますと・・・

「やれることからコツコツと」です。

原因としては、労働条件の悪さや新設された免許制度にあると思います。しかしながら、これを改善するには、大規模な人材確保による1人あたりの労働時間を緩和、人数が増えるので、当然車両を購入等で設備投資など、多額の費用が必要となります。

これを小規模事業者も実施しなさいって・・・ちょっと酷な話です。

働きやすい環境構築は私も賛成です。しかしながら、小規模運送事業者にできる事は限られています。

まずは、焦らず自社ができる事からやるべき。

労働時間を短縮する事だけに注力しがちですが、むしろもっと走りたいって言うドライバーも中にはおられませんか?もちろん無理な運行はダメですが・・・

荷扱いを、手積み手下ろし輸送からパレット輸送に変えるとか

聞いてあげる仕組み、ストレスを溜めない環境をつくるとか

「高速道路を使わず下道(一般道路)を走れ!」(昔ドライバー時代はよく言われました(笑))のような過酷な業務指示はしないとか

まとめますと・・・

① お客様への輸送効率の提案

② 聞いてあげる、気に掛ける、ドライバーの心身の変化にも気づける環境を構築する

③ 適正運賃での収受、無理な運行をせず余裕のある運行ができるのは適正な運賃設定

大きな革新はできないけれど、自社努力でドライバーのストレスは減らせます。この三つのような施策は、すぐに成功するしないに関わらず取り組めるのではないでしょうか?

できる事を全力で考え、すぐに取組む、ドライバーの負担が減るにつれ、人材確保ができ、同時に高齢者でも働ける環境を構築できます。

そして、できる事を全力で取り組む経営者の姿が、ドライバーモチベーションにも繋がります。

もちろん最終的には、労働時間短縮しても、今のお給料を支払える環境にするべきです。

でも、まずできる事から始めましょう。

課題②:荷主ニーズの多様化による競争激化

お客様のニーズを把握、提案、実行を行い運賃への転嫁へ・・・

これについては、小規模運送事業者が強いと自負しております。

お客様の要望を、フレキシブルに対応できるのは小回りの利く、小規模運送事業者です。荷主様からの多種多様な要望に対し、できる限り対応する。

ここからが非常に重要です。

その、できる限りのお客様の要望に対応し、お役に立てているかどうかを精査ししっかりと運賃に転嫁しているかどうかです。

つまり配車した社員さん、運行したドライバーさんの汗水流した努力を運賃に変えていく事です。

ここは、経営者、経営幹部の役割だと思います。義理人情はもちろん必要です。しかしながら、我々は慈善事業ではなく、社員さんとその家族を守る為に、自社の輸送サービスの差別化を図り、付加価値を高め、運賃単価へと繋いでいくのが、我々経営者のやるべき事です。

「そういう事言うなら、運送会社を変える」って荷主様もたまにおられます。そういう時は胸張って、言ってください。「どうぞ」と・・・

が、しかし!

なかなか言えませんよね?

言ってしまうと仕事なくなってしまいますよね?

ここで以前お伝えした「売上の平準化」に行きつきます。その為には、新規顧客開拓・既存顧客の深堀は、計画的に毎年取り組みましょう。

荷主様への全力対応を愚直に行うことで、差別化を図ると必ず自社ファンは増えていきます。win-winを築けるお客様と繋がっていきましょう。

♦一般貨物自動車運送事業の付加価値って何?

私はよく、一般貨物自動車運送事業の付加価値ってなんだろう?と考えます。

特殊車両でも、特殊作業でもなく、同業他社ができる事と変わらない・・・

車両台数も20台以下と対応力もない・・・

むしろ、どこの運送屋さんでもできる仕事にどうやって付加価値をつけられる?

小規模運送事業者のみならず、経営者なら一度は考えた事ありますよね?

これって、考え方変えると

同業他社ができる事と変わらない ➡ 対応範囲が幅広い

車両台数が20台以下と対応力が弱い ➡ 20台以下の国内一般貨物自動車運送事業者数が全体の75%

そうなんです!

競争から共存、つまり小規模・中規模での助け合いです。

また、小規模運送事業者の営業は、常にお客様と膝を突き合わせ、コミュニケーションを図る事で、よりフレキシブルな対応、そこから生まれるアイデア、効率化という流れができます。

小規模には、小規模の手法があります。営業も同じく、いろいろな提案ができる営業手法で、お客様に寄り添い、物流パートナーとして考えてもらいましょう。

また、大手ではなく、地域に根差し、地域でものづくりされている、比較的小規模でされている町工場等の製造業者様の配送にも、対応できる関係性を築けるのも、我々小規模運送事業者です。

課題③:運行の安全と環境問題

楽しむ場づくりこそ、経営者の使命。

運行の安全については、会社規模関係なく取り組む事は同じです。

毎月の安全会議、外部講師の研修の開催はしましょう。

特に社長や運行管理者が進めると、マンネリ化しますので、外部講師は必ず定期的に行う事が必要です。

また、内容としてはドライバーミーティングで出た意見等で開催すべきです。(※ドライバーミーティング:配車担当者含めドライバーでのみのミーティング)

では、どのように進行すればいいかを伝えさせていただきます。

貨物自動車運送事業安全規則により、一般貨物自動車運送事業者はドライバーに適切な指導として12項目の指針があり、その項目に従い実施しなければならないとされています。

なので1ヶ月1回この項目で1年間計画的に話し合う機会を設ける。

ただ企画・実施するだけではダメで「先日こんな事があった」「事故しそうになった」つまりヒヤリハットの意見を出し合い、ドライバーが企画する事で、更に安全意識を高めます。

そこで、大切なのは「楽しむ」その場の活気が大事です。

暗い会議になりがちな安全会議は、逆に緊張感を持ちながらも「楽しい雰囲気」「誰もが意見を出しやすい雰囲気」が必要であり、それをコントロールしていくのは管理者の仕事です。

また、荷主様の構内での安全運行・作業はもちろん、対応やあいさつ等、話合う事で「どこから売上が発生しているのか?」そして「その業務が我々の生活を支えている」という事を社員さん全員と考える時間は必要不可欠です。

ドライバーミーティングで、一人親方であったドライバーさんが同僚と関わり合う事で、先輩後輩の関係を築け、人が人を教える仕組みが構築されます。

環境に関しては、鉄道やフェリーの活用によるいわゆるモーダルシフトを実施する事は、小規模事業者にとって未知の世界です。

社内会議やドライバーミーティングを利用して、小規模だからできる事「アイドリングストップ」「ムリな急発進、急加速」つまり、当たり前のことを当たり前にするを徹底的に話合い、一人ひとりの環境に対する考え方を少しづつ変革してく事です。

まとめ

本日は、小規模運送事業者がやるべき事を書かせていただきました。

人材確保・ドライバーの高齢化等は大手にはできない、小回りの利いた戦略で、自社にできる事を愚直に行っていく、働きやすい環境を構築していくことです。

また、お客様のニーズの把握は、常日頃の配車が関わり合い、ニーズ把握に努め対応していく、またドライバーも同じ思いで業務を行う、それを経営者並びに経営幹部がお役に立てた証、つまり運賃収入に転嫁していくという、シンプルでスピード感ある仕組みは我々小規規模運送事業が最も得意としています。

安全・環境については、コミュニケーションを通じて、楽しく学ぶ事が必要不可欠で、決して押し付けではなく、どんな形であれドライバー自身が自主的に進める事を目指しましょう。ドライバーさんも自分の命ですから・・・

その機会の提供は、もちろん経営者並びに経営幹部の仕事です。

環境についても同様、自社のできる事から少しずつでも行動していく事。微差が大差になるという事をお伝えしました。

我々運送業は、積む、運ぶ、降ろす、当たり前の事を当たり前に行う事が肝です。ですから、当たり前の事を当たり前にできる社風を構築する事が一番です。

つまり凡事徹底が小さいけれど、屈強な強い会社を創造すると考えます。

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